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片恋 act.35
(R-18)

自ら貪るその刺激に、内側が収縮を繰り返し、より深い場所に誘い込むかのように震え戦慄く。
それでも、こんなんじゃ足りなくて……全然足りなくて。

「お願…ぃ──…もっと……ねぇ…あら…った!んん…ぅあ…」

もっともっと、こいつを感じたくて。
強い刺激が欲しくて、喘ぎ求める俺の痴態を、ただ笑みを浮かべながら楽しんでいる新の首筋に縋りついた。

「何だよ、全然足りねえってか?」
「う…っん……っふぁ…あん!」
「淫乱な奴……」

そんな低く甘い囁きが耳元を掠めたその瞬間、俺の双丘を鷲掴んだ新の腰が僅かに揺らされ。
その先を期待し、背筋に走った痺れに脳髄までもを犯されていく。

「くれてやるよ……」
「っは……ぁぁあああっ!」

そうして与えられた、狂ってしまいそうなほどに激しい突き上げ。
ガツガツと突き上げられる、眩暈を起こしてしまいそうなほどの快感に、悶え上げる嬌声が部屋中に響き渡る。

もう──…何も考えられなかった。
的確にイイところを攻め上げてくる揺さぶりに、それら全てに追いつける術など見えなくて。
ただ縋りつき、あられもない喘ぎを響かせ、無意識のうちに揺れる腰の存在ですら、最早俺には理解できずにいた。

ただ欲しくて──…こいつの熱が欲しくて。
俺を求めるこいつの存在だけを感じていたくて。

「光流……光流……」

反転させられ、その逞しい腕の中に俺を抱きこみながら、何度もその唇から紡ぎだされる自分の名前が愛しい。
耳元に、唇に──…全身に触れてくる、こいつの熱い吐息に、何もかもを飲み込まれてしまいそうだ。

「新……あら……っふぁああ…っんん!」

それは、これまで抱き合ってきたどんな時よりも幸せで、甘い痺れで身体だけじゃない、心までもを満たしてくれる、何ものにも代え難い瞬間だった。
与えられすぎるほどに与えられ、それでも求めて止まないこの思考の全てが、重なり合った身も心も全てが、満たされたそのままに、いっそどろどろに溶け合ってしまえばいいと、そう願ってしまうほど。

「愛してる──…」

何度も囁きを落とし続けた言葉の意味が、ちゃんとこいつに届いているだろうか。
どれだけ声に出して言っても足りない。俺の想い全てを伝えるには、そんな言葉ひとつだけじゃ足りないのだと、ちゃんとこいつに届いているだろうか。

「もっと……ねぇ…もっと…ぉ──…」

最早、自分の発する言葉の意味ですら明確にわからずに、ただうわ言のような言葉を繰り返し、こいつの存在だけを求め続ける俺に、望んだ温もりが……熱が降り注ぐ。

「愛して──……」

そして、絶頂を迎えるその瞬間、己の口から飛び出したその言葉が、こいつに伝えたい想いだけではなく、なによりも欲しいと望む、こいつの想いなのだと。
白くスパークする意識の中でも、それをはっきりと感じ取ってしまった俺の目尻から、それまでとは違う意味を持った涙が一筋零れ落ちた。





時を忘れて抱き合い、もう何度絶頂に達したかなんてわからない。
どろどろに溶け合うほどの快感に、満たされているはずの心が、それでも何かが足りないと訴えかけてくる。
それでも、これ以上を望んじゃいけないと。すぐに全てを手にしようと、そんな高すぎる望みを抱いてはいけないと……。

今この瞬間、俺を包み込んでくれる腕があれば、それでいいじゃないか。
ようやく触れることが許された、その唇からの愛撫だけでいいじゃないか。

激しく求められ、そして貪りつくされた欲望の余韻の中、指の1本だって動かす事ができないほどに疲れ切ってしまい。
そんな甘い痺れの中、力なくベッドに沈み込む俺の身体を、抱きしめてくれたままの新の大きな手が、まだゆるゆるとした愛撫を繰り返している。
そこにはもう、性的な興奮を促すような意味は含まれていなかったけど。それでも、自分が付けた刻印の痕を辿るように這わされる手が、心地よくも敏感になりすぎている俺の肌に刺激を与えてくる。

抱き合った後に、こうして触れられるのもまた初めての経験で。
その事に、間違いなく俺は満足しているはずなのに──…。

それでも、多くを望んでしまいそうになる自分の浅ましさに、とっくに気づいてしまっていたから。
それを誤魔化したくて。下手すると、この優しい愛撫に調子に乗ってしまいそうな心が、更なる言葉を求める台詞を発してしまいそうで。

「新……キス…してもいい?」

そんな自分の浅ましさを塞いでしまいたくて、俺の髪に、額に口付けを繰り返してくれる唇に強請る。

「今更それを聞くかよ」

「ん?」と視線を寄越してきた新が、呆れた声で微かな微笑みを浮かべ。

「だって……っん──…」

なんだか罰が悪くて俯いてしまいそうになった俺の唇に、少し強引に重ね合わされた温もり。
望めば、こうして与えてもらえる。それだけでいい──…今ここで、それ以上の事を望んだら、ずっと手に入れたと願っていた存在そのものを、失ってしまうかもしれない。

「新……好き──…」

それでも、溢れ出してくる切ない想いは止められなくて。
繰り返される、啄ばむようなキスの合間に、何度も告白を紡ぎ出す。
いつか……俺が伝えるのと同じように、おまえの口から「好きだ」と、その言葉を聞かせてもらえる日が来るだろうか。

おまえの想いは、それこそ抱き合っている間中、受け止めきれないほどに、溢れ出してしまいそうなほどに流れ込んできたけど。それを言葉に出して言って欲しいと、それを望んでしまう俺は、やっぱり贅沢者だろうか。

与えられ続ける、唇への愛撫が気持ちよすぎて。
気だるさに包まれた身体に、ふわふわとした心地よさを運び込んでくる。
とろとろと、重たくなり始めた瞼に、襲ってくる睡魔に打ち勝てず、閉じた瞳をそのままに眠りに引き込まれていきそうになる。

そんな俺に気づいたのか、不意に離れて行った唇から、フッと微かな笑みが漏れたのを感じ。
俺を抱きしめながら笑ってくれるこいつが、今どんな顔をしているのか。目を開けなくても伝わってくる穏やかに流れる空気に、この身を包んでくれる、優しく甘い雰囲気に、自然と零れだす笑み。

「おやすみ…」

そうして、耳に届いた低い声に、頷いたつもりの俺は、そのままゆっくりと訪れた眠りの中に意識を投じていった。

柔らかく抱きしめてくれる、その腕の温もりが嬉しい。
頬にかかる、穏やかな吐息の存在が嬉しい。

「愛してる──…」

やがて、完全に意識を手放しかけた俺の耳に、不意に届いた甘い囁き。
己の願望が作り出した告白かと、一瞬我が耳を疑い。
それでも、包み込まれる力強い抱擁に、それが夢などではないと教えられる。

ぎゅっと、息苦しくなるほどに胸が締め付けられ、言葉にはできないほどの愛しさがこみ上げてくる。
開ける事ができないままで、それでも小さく震える瞼の隙間から、静かに流れ落ちた俺の涙を、優しく掬い上げるようにして触れてくれた唇。

その仕草ひとつだけで、胸に巣食い続けてきた蟠りも傷も全てが拭い去られ、心から満たされた瞬間だった───…。

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  2008/03/30 片恋 コメント(1) TB(0) 記事No(52) ▲TOP
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【2008/03/30 19:39】 # [編集]

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