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eternal lover act.7
*お詫びと訂正*
誤字の訂正でございます(>_<)
「eternal lover」第4話にて、訂正部分がございます。
「それまでの年間一度として接触をしなかった2人が、始めてその存在を意識下に置いたのは、無事に回生へと進級をした8年前の初夏の頃だった。」の一文ですが、晴彦と圭一の出会いは4回生の時です(大汗)
「それまでの年間一度として接触をしなかった2人が、始めてその存在を意識下に置いたのは、無事に回生へと進級をした8年前の初夏の頃だった。」と訂正させていただきましたので、ご了承くださいませm(__)m
お間抜け全開で申し訳ございませんでした。2人は4回生ということで、よろしくお願いいたしますm(__)m


***************************************************************


「ケイちゃ〜ん!ここ、ここ!」
「西宮くん……」

あれから、結局突然の握手の意味を告げられる事もなく、また圭一もその意味を問い出せないままに、気付いたらいつも声を掛けてくる晴彦の隣で授業を受けるようになっていた。
集団の中での生活に慣れていない圭一は、最初こそ掛けられる声に笑顔で返しながらも、その集団の中に入ろうとはせずいつもの定位置に座っていたのだが、そうすると何故か席を移動してきて当然のように自分の隣に座ってくる晴彦を黙認する内に、いつしかそれが当たり前になってしまっていたのだ。
今では、圭一よりも先に教室にいる晴彦が、今や2人の定位置とも言える教室の一番後ろの端の席で、圭一の席をきちんと確保しながら待っていてくれる。
しばらくそんな状態が続いた後、それまで晴彦が行動を共にしていた友人達までもがその付近へと席を移動してきて。
それまで1人静かに授業を受けていた圭一の周りが、急激に騒がしいものに変化を遂げていた。

「ケイちゃんって、もっととっつきにくい奴なのかと思ってたよ」
「うんうん、いっつも1人でいるしな」
「なんとなく近寄らないでオーラ発してんのかと思ってたからさ〜、声かけたハルを尊敬しちゃったもんな俺」
「バァ〜カ!好き勝手言ってんじゃねえや。そんなオーラ、全然発してないってんだよ。なぁ?ケイちゃん」

気付いたら人に囲まれてしまっているこの状況に、1月近くも経とうというのに圭一はまだ慣れきれてなくて。次々と自分に掛けられる声に、戸惑いの表情を貼り付けたままで返答にも困ってしまう有様だ。
そんな圭一の様子を見かねて、いつも助け舟を出してくれるのが晴彦だった。矢継ぎ早に変わる話題に、あまりこうして人と接することに慣れていない圭一の速度を計るようにして、いつだって盛り上がる友人達を諌めながら声を掛けてくれる。

「だいたいなあ!俺が最初に声かけたの!何でおまえらまで図々しくここにいるわけ?しかもケイちゃんって何だよケイちゃんって。馴れ馴れしく呼んでんなっての」
「なんだよ、1人占めする気かよハル」
「おまえが呼び始めたんだろ〜」
「男の独占欲って見苦しい〜」
「バッカじゃねえの!?独占欲なんて、おかしな言い方してんじゃねえや」

傍目から見れば、晴彦だって周りの友人と大差なく、浮かれ切っている1人である事に間違いはないのだが、初めから晴彦に対して何か特別なものを感じていた圭一にとっては、他の誰とも違う親しみやすさを感じていたのは確かだった。
それに、これは間違っても口に出して言うことなどできないが、本人の気持ちを振り返ること無く、予想に反して輪の中で人気者になってしまっている圭一にとって、「ケイちゃんに最初に声をかけたのは俺なの!」と、そんな意味のわからない主張をする晴彦の態度が、なんだかくすぐったくも嬉しいと感じてしまっているのも事実だった。
もちろん、そんな事を言う晴彦の気持ちが、自分と同じようにして特別な感情を抱いてくれているなどと、そんな都合のいい事は考えはしないが。それでも、ほんの少しでも、友人としてでも自分の存在が晴彦にとって特別であってくれればいいと、この時の圭一の胸の中には、すでにそんな想いが存在していた。

例え、特別な意味で自分を見てくれなくてもいい。ただこうして、友人の1人として近くにいる事を拒絶されないのであれば、それだけで圭一にとっては幸せだったのだ。
ノンケである晴彦が、自分に対して恋人に寄せるような想いを向けてくれるだなどと、そこまで都合のいい事は考えもしないし望みもしない。それでも、ただこうして彼の作り出す笑顔溢れる場所に、叶うなら自分もずっと置かせてもらえればと。
一度自覚してしまった想いは、どんなに否定しようとしても否定しきれない事を圭一は知っていた。でも同じように、いくら想っても叶えられない願いがある事もまた、普通とは違う性癖を持つ圭一には嫌と言うほどわかっていた。
気持ちが膨らめば膨らむほど、振り向いてもらえない現実に傷つく。それを知りながらも止められないのであれば、せめてこうして近くで過ごさせてもらえればと思うのだ。

と思いはするものの、この現実についていけないのも本当で。
これまで、学校の中では友人らしい友人を作らず、意識して1人で過ごしていた圭一にとって、突然できた友人の存在は、多くの戸惑いを感じさせられるもので。彼らとの上手い付き合い方がわからない。
こんな事をいつまでも繰り返していたら、いつかみんな呆れて離れて行ってしまうのではないか。それでも、もしそうなったとしても、以前のように誰に気兼ねする事もなく1人での時間を過ごせばいい事だと、そう思う気持ちもある。
実際、誰かと多くの時間を共有してあまり深くを突っ込まれ、なんらかの拍子に自分の性癖がバレてしまう事に大きな恐怖を感じるのだ。それがあったから、これまで圭一は必要以上他人と関わらず、1人の時間を優先してきた。
その生活に戻ってしまうこと自体には、そこまでの寂しさや抵抗は感じない。ただ、そうなった時に、晴彦という存在までもが離れてしまう事だけが、考えただけでも胸が締め付けられそうに辛かった。

「ケイちゃん、ケイちゃん」と、初めて会話を交わしたあの日から、教室を出た自分を晴彦が追いかけてきてくれて、声を掛けてくれたあの日から、不思議なくらい圭一に友人としての好意を示してくれる晴彦だが、そんな彼だってきっと、圭一の性癖を知れば気持ちが悪いと離れていってしまう事は確実だろう。
あえてその話題に触れさえしなければ、簡単にバレてしまう事ではないだろう。それを理解しながらも、多くを語ればどこかでボロを出してしまいそうで。結局のところ、彼らのノリに今ひとつ便乗しきる事ができない大きな要因は、そこにあるのだ。
当然だが、合コンや女の子の話で盛り上がる彼らの中に、その気持ちを理解して入り込む事は自分にはできない。
その場限りの言葉で返せばいいと思いはするものの、これまで人付き合いを避けてきた圭一には、生憎とそこら辺を上手く立ち回る器用さがなかった。

「なあなあ、今度さ、ケイちゃんも一緒に行こうぜ」
「え……?」
「え?って、聞いてなかった?合コンだよ合コン!」
「あ、ごめん…」
「こうやって遊べんのなんて今のうちなんだしさ、卒業までの残された時間を、大いに青春に費やそうぜ!」
「バァ〜カ!こっ恥ずかしい事を、拳作って熱弁してんじゃねえや」

ぼんやりと、いつものように盛り上がる友人達を見つめていた圭一に、突如掛けられた誘いの言葉。それに慌てて反応を示した圭一に対して、グループの中でも晴彦と一番仲がいいらしい中野 忠次(なかの ただつぐ)、通称チュウが声を掛けてきた。
そして、まさに天に突き上げんばかりに固めた拳で熱弁を奮うその姿に思わず吹き出せば、すかさず晴彦の固めた拳がその後頭部へと落とされる。

「いって〜っ!暴力反対!」
「うるせえ!ケイちゃんを悪の道に誘い込むな」
「悪の道だぁ〜!?ハルだってちょっと前までは、ホイホイ喜んでついてきてたじゃんよ。ってか、誰よりもノリノリで、率先して企画立ててたくせによ〜」
「あ〜ん?何を言ってんだか、さっぱりわかりませ〜ん」
「きったねぇ〜!自分だけいい子ぶるつもりかよ!」
「そうなの?西宮くんが率先して企画立ててたんだ……」

ギャーギャーと言い合う2人の姿に、「もっとやれやれ〜」と無責任な声援を周りが送る中、その言葉に反応して思わず零した圭一の呟きに、一瞬その場が静まり返った。

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  2008/05/25 eternal lover コメント(2) TB(0) 記事No(78) ▲TOP