Design by bossne
Template up date [2008-5-20]
http://tokinokotonoha.blog99.fc2.com/
駄文倉庫
完全オリジナルにて、BL小説なる駄文を書き綴っております。 性的描写を含む表現も出てまいりますので、18歳未満の方のご閲覧はご遠慮くださいませ。
Master:時友
アンケート☆
サイト1周年企画☆アンケート結果発表♪
たくさんのご協力、ありがとうございましたm(__)m
詳細は……下記クリックにて、別ページ開きます☆


1周年企画☆アンケート結果
更新情報
    目次はTOPページ(←クリックでページジャンプ)にございますm(__)m
    *文字スクロールいたします。
参加ランキング
ランキング参加再開しました。

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
1日1クリック有効vvサイトをお気に召したら、ポチッと一押しお願いしますm(__)m
参加トラコミュ
キリリク停止中☆
17万HIT御礼♪


キリリクの受付を一時停止させていただきます。また受付開始の際は、こちらでお知らせをさせていただきますm(__)m
現在の閲覧者様☆
ご閲覧、ありがとうございますm(__)m
現在の閲覧者数:
管理人:本館ご案内
Treasure(本館)
*管理人が別HNにて運営する、表サイトなる本館へのご案内をさせていただきます。

■学園物中心で、あまあまハッピーエンドを基本としたサイトです。
■短編〜長編〜シリーズ物と、小説の本数だけは多いです。
■18禁を掲げてはいますが、基本ぬるぬるです。


……というように、こちらのサイトとは毛色の違う作品を置いてあるサイトです。
それでもいい!とおっしゃっていただける方、下記リンクバナーをクリックしてやってください♪
別窓にて本館ページが開きます。本館へのご来訪、心よりお待ちしておりますm(__)m
Treasure〜いつかの僕達〜
管理人:水城 唯香(管理人:別HN)18禁
言の葉送信
ご意見・ご感想、お待ちしております。 アドレス未記入の場合は、雑記&レス板にてコメントレスをさせていただきますので、ご了承くださいませ☆
片恋 act.1
気付けば視線が追いかける。
ふとした仕草にドキッとする。
見つめられるその視線に、胸が高鳴る。

いつも傲慢なくせに、抱き合うその時だけ、優しく囁くように名前を呼ばれ鳥肌が立つ。
伸ばされた指先に触れられた瞬間、全身に甘い疼きが走り、思考の全てを支配される。

そして認めるしかない恋心──…。

わかってる。
決して俺のものにはならない。

その腕に優しく抱き締めるのは、いつだって俺じゃなくて。
その唇が求めているのは、いつだって俺じゃなくて。

違う誰かに愛を囁くおまえを、見ていたくなんかないのに。
俺じゃない誰かに向けられる愛を、見ていたくなんかないのに。

それでも離れられないのは、例え僅かな時間でも独占していたいから。
それが俺の独りよがりの勘違いだとしても、その瞬間は俺だけを見ていてくれているのだと、そう信じていたいから───…。

そして捨てきれない想いを抱えたままで、自ら踏み込んだ底なし沼に、もう全てを飲み込まれてしまっているのかもしれない。




初めてあいつと会ったのは、ありがちだけど、桜が満開に咲き誇る陽気な春の日。
真新しい制服に身を包み、新生活のスタートに胸躍らせ、意気揚々と高校の正門をくぐったあの日──…なんて、そんな優等生ぶるつもりはないさ。

別に、高校に入学するからといって、新生活のスタートだとか、胸を躍らせるだとか、そんな安物のドラマみたいな設定は俺の中にはなかった。
まあ確かに、桜は満開に咲き誇ってはいたけどさ。ってか、あれは満開時期を少し過ぎた、散り行く桜の樹だったんじゃねえの?

陽気に晴れ渡った真っ青な空に、淡いピンクの桜の花弁は確かによく映えてはいたが、風が吹くたびに大量に舞い落ちてくる花弁は、正直ちょっとウザったかった。

というように、俺は優等生なんて呼べるようなタイプではなかったし、かといってグレていたわけでもなく。
本当に群集の中に紛れれば、その他大勢に同化してしまうような、どこにでもいる何の取り得もない少年だった。

反してあいつは──…そうそう、話を戻そうじゃないか。
俺があいつと初めてあったのは、確かに桜が満開に咲き誇る陽気な春の日で。
でもそこは、見るものによっては感動的な、風に舞い散る桜の花弁の中でもなんでもなくて。
入学式だというのに、ザワザワと私語に溢れかえった体育館の中だった。
お偉い方々のお言葉やらなんやら、いい加減飽きあきしていた新入生も在校生も、大欠伸をかましたり好き放題喋ったり。

とにかく、厳かに執り行なわれるべき式の真っ最中とは思えない空気に、館内が包まれ始めたその時だった。
一瞬大きくざわついた館内が、次の瞬間にはシンと静まり返り。
特に話も聞いていなけりゃ、一言だって言葉を発する事はしなかったものの、ふかした欠伸は数え切れず。
そしてまさに、俺が何十回目かわからない欠伸をかまそうとした瞬間だった。

一変した場の雰囲気に、漏れ出しそうになっていた欠伸を噛み殺し、何事かと周りの視線を追ってみれば、何の事はない壇上に立つ1人の男子生徒の姿。
順番から言えば、今は新入生代表の挨拶ってとこか?だとしたら、あいつは俺らと同じ1年だよな?
それで?何でみんなそっちを見て静まり返ってんの?
そんなに息を飲んでしまうくらい男前だってか?

どれどれ、その面をしっかりと拝ませてもらおうじゃねえの。
ちょっとの好奇心で向けた視線の先。そこに立つ男子生徒は、確かに身長もスラリと高かった。顔も…まあ、テレビに出てくる何ちゃらって芸能人に少し似てるかな?程度にはカッコよかったし、一応男前の部類に入るかな。
だからって、こんなに静まり返って見つめるほどかよ。あいつ自体が芸能人だってんならわかんなくもないけどさ。

そいつが代表の挨拶文を読み上げ始めると、やっぱり周りは物音ひとつ立てずに、壇上の奴を食い入るように見つめてる。
さっきまでのお偉いさん方の挨拶のときとは、雲泥の差?えっらい違いじゃね?
そんな事を思い、ついつい吹き出しながらも、さっき噛み殺した大欠伸をひとつ。

悪いが俺は、男に見惚れる趣味なんかねえよ。おまら揃って、そっちの世界の住民なわけ!?
欠伸のしすぎで目尻にたまった涙を指先で拭いながら、明らかに壇上の奴に見惚れていると言っても過言ではない様子の生徒達を、半ば呆れた思いで見回していた。
あの一応は男前の部類に入るらしい奴に、女が見惚れるってんならまだ話もわかるさ。
でも、今この場所に女は存在しないわけで。いるとしても、保護者か教職員の中だけなわけで。

そう、俺が入学した高校は、知る人ぞ知る、天下の私立男子校だったのだ。
だから、今周りでバカみたいに奴を見つめている連中は、間違いなく男なわけで。当然奴も、一応男前って比喩したんだから男だろ?
男が男に見惚れるってなんだよ!?有り得なくね!?
何?もしかしてここは、そっちの世界の方々の集まる高校だとか言ったりする?
勘弁してくれよなぁ〜…な〜んてね。

もちろんそんな事を真剣に考えたわけじゃないけど、それでも周りの同級生達が、あいつに羨望やら憧れやらが混じったような視線を向けていたのは確かで。どうやらその波に乗り遅れてしまっていたらしい俺は、退屈しのぎにそんな事を考えながら、1人で突っ込みを入れると言う虚しい行為を繰り返していた。

それが、正真正銘俺とあいつの初めての出会い。
まあ、出会いなんて言うにはお粗末過ぎるとは思うけどね。
お互い言葉を交わしたわけでもなけりゃあ、視線を交わしたわけでもないんだから。
でも、お互いの存在を意識下に入れたって意味では、やっぱり出会いって言ってもいいんじゃねえかなって、俺は勝手にそう思ってる。

<<to be continued…→next click>> 目次はTOPページ(←クリックでページジャンプ)にございますm(__)m




*拍手内並びにブログ内にて頂戴しましたコメントは、
全て雑記&レス板(←クリックにて別窓)にて、レスを行わせていただきます。

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
ランキング参加しています。1日1クリック有効vv↑
小説をお気に召していただけたら、ポチッと一押しお願いしますm(__)m
  2007/12/26 片恋 コメント(0) TB(0) 記事No(14) ▲TOP
片恋 act.2
(R-18)

薄闇のベールが包み込む部屋に響くのは、身体に絡みつくシーツの布擦れの音と卑猥な水音。そして、俺の唇から漏れ出す矯声。

「……っん…あ、ああ……」

最初の頃は、自分の唇から漏れ出す女のような喘ぎが気になったりもしたが、3年も聞き続けりゃいい加減慣れてくる。
今では恥ずかしいなんて思いは、遥か遠くへ追いやられ、ただ快楽だけを貪欲に求める自分にも慣れ切ってしまっていた。

「あ、あ…ひぁああ…っ!」

遠慮の欠片もない激しい腰の打ち付けに翻弄され、霰もない声を上げ更に奥へと誘い込もうと腰を揺らす俺の恥態を、欲望に濡れニヤリと細められた瞳が、余すとこなく視姦するように舐め回してくる。
その視線に射抜かれるだけで、全身を駆け巡る言いようのない甘い疼き。

ガクガクと、揺さぶられるままに身を預け、自分でも感じ取れるくらいにヒクヒクと蟲めく内壁が、更に激しい快感を求めて、内側で牙を剥き出しにする欲望の証を締め付ける。

「すっげ…全然足りねえってか?この淫乱野郎」
「…っは…ぁあん…っ」

そんな嘲りの言葉でさえも、本能のままに欲を貪る今の俺にとっては、甘美な愛撫のひとつでしかなかった。

「も…あ、ああ…イク……イカせて……っ!」

ガツガツと、腸壁を突き破られるのではないかと思うほどの激しい突き上げに、身悶え狂う俺の欲望が限界の悲鳴を上げた。
溢れ出て止まらない先走りの蜜が、さっきからきつく握り締めたままのこいつの手をぐちゃぐちゃに濡らしていく。

「何回目だよ。いい加減出し切って、底つきんじゃねえの?」

そう言ってニヤリと笑うこいつの低い声が、ただでさえ限界に震える腰にズドンと響き、それだけで果ててしまいそうになる。

「あ…新…あら…たぁ…っ!」

叶えられない望みに自ら腰を揺らし、解放を求めて伸ばした手が、いともあっさりと払い退けられ。

「や…あ、あ、あああ――!」

解放を許されない熱が身体の奥に大きな渦を巻き起こし、乱れ悶える俺の脳みそはすでにドロドロに溶け出してしまっていた。
こうなってしまっては、何ひとつまともに考える事などできやしない。

何もかもが溶け出し、後に残るのは、ただ快楽を求め続ける卑しい本能と、決して口に出して伝える事など叶わない想いだけだ。

どれだけ欲しても与えられないのは、欲望の解放だけではなかった。
今の俺が何よりも欲しいのは――…。

「新……新……」

息つく暇もないほどに突き上げられ、狂いそうになる感情を必死の思いで繋ぎ止める。
そうして伸ばした手でその首筋へと縋るように抱き付き、引き寄せ求めた唇は、突き放すようにあっさりと逸らされてしまった。

わかってる――…。決して与えられる事のない温もり。
それでも望んでしまうのは、浅ましい俺の心。

こうしてドロドロになる程に抱き合うのに、身体中余す所なく貪られるのに、1度として与えられない唇への刻印は、切ない程に俺の心を掻き乱す。
まるで逃げるように逸らされる唇が、苦しいと叫ぶ俺の心をズタズタに切り裂いてゆく。

一番望む場所に、どんなに欲しても与えられない口付け。その意味は、嫌になるくらいわかってる。

こうして抱き合っていても、俺達は恋人同士じゃないから。
ただ欲望を吐き出すだけのこの行為に、それ以外の意味などない事を知っている。

恋人としての愛情などないくせに俺を抱くおまえが、それでもギリギリの立ち位置で、俺を親友という鎖で繋ぎ止めておこうとしているのがわかるから。
だから俺も、いつも逸らされてしまう唇を、それ以上追いかける事ができなくなってしまうんだ。

割り切った関係だったはずなのに。それが辛いと感じるようになったのは、いつからだろう。
欲望を吐き出すだけだったこの行為が、意味を持ち始めてしまったのは、一体いつからだったのだろう。
叶わないと知りながら、それでも求めてしまう心に初めて涙をこぼしたのはいつだっただろう――…。

<<to be continued…→next click>> 目次はTOPページ(←クリックでページジャンプ)にございますm(__)m

 


*拍手内並びにブログ内にて頂戴しましたコメントは、
全て雑記&レス板(←クリックにて別窓)にて、レスを行わせていただきます。

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
ランキング参加しています。1日1クリック有効vv↑
小説をお気に召していただけたら、ポチッと一押しお願いしますm(__)m
  2007/12/27 片恋 コメント(0) TB(0) 記事No(15) ▲TOP
片恋 act.3
高校の入学式で、やたらと注目を集めながら新入生代表の挨拶をしたあいつが、実は最近巷で有名なメンズファッション誌を飾る、モデルの1人だと知ったのは入学式のその日だった。
毎日校内で見かけるあいつは、いつも取り巻きと思われる輩に囲まれていて。いつだって穏やかな笑みを貼り付けていた。

俺はと言えば、それなりに友人はできたものの、変わらずパッとしない学校生活を送っていて。
別にそれ自体に不満があったわけでもないし、元々人付き合いに関してはドライなタイプだったから、そこそこの付き合いで十分に満足してたんだ。

そんな俺とあいつでは、完全に過ごす時間も住んでいる世界も違っていたし、同じクラスでもなかった俺達の間に接点などが生まれるはずもなかった。

それに、俺はファッション誌を読むタイプではなかったから、いくら有名なモデルだと知ったところで、あいつに対して何の興味も持てなかったんだ。
だから、校内でその姿を見ても、相変わらずぞろぞろと連れて歩いてんなぁ…くらいにしか思わなかった。

そんな、1度としてまともな会話を交わした事のなかった俺達が、初めて会話を交わしたのは、初めてその存在を知ったあの春の日から1年後の事。

2年に進級した俺は、新学期だからと言って別段いつもと変わりなく。
新しいクラスに、1人もつるんでた奴がいなかったら面倒くさいなぁ…などという事を考えながら登校した。

登校してすぐに、掲示板に張り出されていたクラス発表を見て、思わず2度見してしまったのは、出席番号が今年も同じだったという理由ではなくて。

『愛川 光流(あいかわ ひかる)』なんて、どっかのアイドルか!?と自分でも突っ込みたくなる名前のおかげで、毎回変わる事のない出席番号。
だから、クラスのてっぺんに名前を書き出されている事になど、今更驚きゃしないし、だいたい驚くようなこっちゃない。

そんな俺が2度見してしまう程度には驚いた理由は、そんなアイドル顔負けの自分の名前の下に、あいつの名前を見つけたから。
『一ノ瀬 新(いちのせ あらた)』…間違いない。1年前の入学式でやたら注目を集め、ずっと取り巻きを連れて歩いてるあいつだ。
考えてみれば、別にそれは不思議な事でもなんでもなくて。
同じ高校で同学年であれば、誰にでも起こりうる事だ。

だから、何もそこに運命的なものなど、その時の俺は感じたりしなかったし、ただ有名人と同じクラスだってさ…なんて。
結局はその程度の感情しか湧いてはこなかった。

まあ…少しはミーハーな気持ちはあった事は、否定できないけど。

そうして足を踏み入れた教室内で、すでに登校していたあいつの周りには、たくさんのクラスメートが集まっていて。
あいつと席を前後とする俺にとっては、自分が座るべき場所が侵されているという、不本意極まりない状況が生み出されていた。

「ちょっとごめん。いいかな?」

俺の席とあいつの席の間に立っていた、クラスメートの1人に声をかければ、「ごめん、ごめん」なんて軽い返事。
それに対して、ほんの少しムッとしたのは、自分の名誉の為に言わせてもらえるならば、決してあいつの事が羨ましいと思ったからじゃない。

別にどれだけの人間があいつの周りに集まろうとも、直接俺には何の関係もなけりゃ、気にするような事でもないさ。
でもなぁ、人のテリトリーにズカズカ入り込んでおいて、謝ったはいいものの、結局その場所を退こうとしないってのはどういう事だってんだ!

(あ〜っ、チクショウ!面倒くさい奴と同じクラスになっちまったなぁ…)

そんな、言葉に出しては言えない愚痴をこぼしながら自分の席に半ば無理矢理腰掛けた俺は、次の瞬間背中に突き刺さるような視線を感じて、思わず振り返っていた。

そこにあったのは、穏やかな笑みを浮かべながら周りを取り囲むクラスメート達と談笑する、一ノ瀬 新……あいつの姿。
でも何故か、あいつの瞳は真っ直ぐに俺を捉え、そこには周りを囲む和やかな雰囲気とは正反対の印象すら受ける程の、はっきりとは読み取れない鋭さが宿っていた。

その瞳に射抜かれ、ゾクリと背筋に震えが走った俺は、後になって考えれば、その瞬間からあいつに囚われてしまっていたのかもしれない――…。

その日を境に、平凡だけどそれなりに充実していた俺の学校生活が、ガラリと一変した。
席が前後だったと言うだけで、望む望まないに関わらず、俺達の距離は一気に縮まりを見せ。気付けば常に行動を共にするようになっていた新のせいで、静かだった俺の環境が、常に周りを人に囲まれるという、ある意味不本意な状況へと変貌を遂げてしまったのだ。

最初の頃こそ、慣れない環境に辟易して、さりげなさを装い輪の中から抜け出そうとしていたが。

「光流、どこに行くんだよ?」

その度に声をかけられ、何故か一緒になってその場を離れようとする新のせいで、結局はぞろぞろとくっついてくる輩を前に、俺は逃亡を謀る事を諦めた。

「あのさぁ…別に俺に気ぃ遣わなくていいからさ、みんなと話してろよ」
「気なんて遣ってねえよ?俺が光流といると楽だし楽しいんだ」

それは暗に、たまには1人にさせてくれという俺の願いを含ませた台詞だったのだが、それを知ってか知らずか、ニコニコと笑顔を浮かべながら言った新に、それ以上何も言えなくなってしまった。

それに、俺みたいに平凡な奴のどこがそんなに気に入ったのか、一緒にいる時の新は本当に楽しそうで。
他のクラスメートと接する時よりも、俺に接する時の新の口調がほんの少しだけ崩れる事に、どこかで優越感にも似た感情を抱いていたのかもしれない。

確かに、性格も周りの環境もまるで正反対の俺達だったけど、不思議なくらい気が合って。
そこに何か特別な意味などなくても、新と共に過ごせる時間と空気は俺にとっても居心地のいいものだったんだ。

ただひとつ、常に周りを誰かしらに囲まれているという状況さえ除けば……。

<<to be continued…→next click>> 目次はTOPページ(←クリックでページジャンプ)にございますm(__)m




*拍手内並びにブログ内にて頂戴しましたコメントは、
全て雑記&レス板(←クリックにて別窓)にて、レスを行わせていただきます。

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
ランキング参加しています。1日1クリック有効vv↑
小説をお気に召していただけたら、ポチッと一押しお願いしますm(__)m
  2008/01/05 片恋 コメント(0) TB(0) 記事No(18) ▲TOP
片恋 act.4
ズルリと中から抜け出るその瞬間だけは、何度抱き合っても慣れる事ができなくて。
その感覚に小さく身体を震わせ、ようやく解放を許され力の抜け切った俺の、未だ熱の余韻が残る身体は、当然のようにあっさりと突き放され、それ以上抱きしめられる事はなかった。

満たされた欲望に、その薄い唇から吐き出された吐息は、過ぎ去った熱を僅かに残すもので。
聞こえてくる小さな吐息ですらも、余韻覚めやらぬ俺の身体には十分な刺激になりえてしまう。

そして、ベッドヘッドにもたれかかるようにして座った新が、サイドに備え付けてある棚に置いてあった煙草を取り出した。
ゆっくりとした仕草でつけられたジッポライターの火が、年を重ねるごとに少年らしさが抜けて、今やすっかり精悍な男のそれへと変貌を遂げている、新の整った顔立ちを薄闇の中ぼんやりと浮かび上がらせる。

初めてその存在を知ってから9年と9ヶ月。そして、初めて会話を交わした日からは8年と9ヶ月。
いつだって俺は、一番近くでこいつの変化を見てきたと、そんな自信を持っていた。
でもその自信は、俺がこいつに対して抱く自分の気持ちに気づいてしまった時、脆くも崩れ去ってしまった。

親友だった俺達の関係は、今も変わらずここにあって。でも…あの頃と違うのは、今の俺達にはこうして抱き合う関係がプラスされてしまっているという事。
きっかけは、男と女の間でならありがちな、酔った勢いってやつ。でも俺達は間違いなく男同士なわけで。
本当ならそんなありがちなシチュエーションだって、あり得るはずもなかったんだ。

高校卒業後、俺達は附属の大学へと進学を果たし、揃って理工学部だった俺と新は選択科目も全て同じ。
高校2年の時からつるみだし、大学に進学してからも当然その関係は変わる事なく隣にあった。

ただあの頃の新は、モデルを続ける傍らでテレビの仕事が増え始めていて、大学にも単位ギリギリの出席日数を確保できる程度にしか顔を出していなかった。
だから、高校の時のように毎日俺の隣にはあいつが、あいつの隣には俺がいるってな状況にはなくて。
そしてやっぱり、たまに大学へと顔を出すあいつの周りには、常に取り巻きがいるという状況は高校の時から変わらなかった。

そんな変わらない日常の中で、突如俺達の関係を変化させたあの日の出来事は、3年の月日が流れた今でもはっきりと思い出す事ができる。

当時の俺達の間には、当然恋愛感情などというものは一欠片だって存在しなくて。ただ素直に、快楽だけに身を任せていた。
身体の関係ができてしまったという事を除けば、変わらず親友としてのあいつは隣にいたし。それに疑問を感じる事だってなかったんだ。

そんな事を思い出しながら、決して俺の方を見ようとしない、新の唇から吐き出される紫煙をぼんやりと追いかける。と、短くなった煙草を、手にした灰皿に押しつける仕草に、慌てて瞼を閉じた。

「光流…?」

ようやく俺の存在をその視界に認めたかのような、小さな呼びかけにも、俺が閉じたままの瞼を上げる事はなく。

「またか……」

呆れたようなため息と共に、耳を掠めていく低い声。
そうして結局触れられる事なく、ベッドから降りた新が衣服を纏い始めた気配だけが伝わってきた。
しばらくして、静かに部屋を出て行く気配と同時にパタン…と閉じられた扉の音。
ゆっくりと瞼を開けた俺は、そこにはもういない新の気配に、それだけで不安に押しつぶされそうな胸を抱え、小さく小さく身を丸め布団の中に潜り込む。

必要以上に俺に触れようとしないおまえが、この部屋から去って行く後姿を見たくはなかった。きっとその背を見つめる俺の瞳は、浅ましいほどに縋る感情を抑えきれないだろうから。
もし、俺が新に対して邪な感情を抱いていると、それをあいつに知られてしまった時、きっとこの関係は終わってしまうから。

だってそうだろう?おまえは男が好きなわけじゃない。
高校の時に知り合った時から、男女問わずもてたおまえが、これまで1度として女を切らした事がない事なんて、それこそ一番近くで見てきた俺は知っていた。
その中で、いつだっておまえは特別な相手を作ろうとはしてこなかったけど、それでも常にその腕の中に抱かれる女の存在がいたって事を、俺は知っているんだ。

誰か1人に決めるなんてもったいないなんて、そんな小憎たらしい台詞を口にするおまえが、相手に不自由などしていないはずのおまえが、どうして俺を抱き続けるのか。
そこにだって特別な感情などない事はわかってる。男である俺を抱くことにすら抵抗を感じなかったおまえにとって、俺という存在は、女のように妊娠する心配も、女のように縋ってくるような面倒もなかった……ただそれだけの話だ。

実際、俺だっておまえへの気持ちを確信するまでは、自分が男に抱かれるだなんて事想像した事もなかったし、いつだって恋愛対象になるべきは女だったはずなんだ。
それなのにどうして、おまえには恋をしてしまったんだろう。一番好きになっちゃいけないはずの、親友であるおまえの事なんか好きになってしまったんだろう。

便利に利用されているだけだという事はわかっているのに。
おまえが俺を、親友以上の感情で好きになってくれる日など来ない事はわかっているのに。

報われない恋だとわかっていながらも、その手を離されないようにと、必死に自分の感情を押し殺している自分が、今はただ滑稽で情けなくてたまらないよ───…。

<<to be continued…→next click>> 目次はTOPページ(←クリックでページジャンプ)にございますm(__)m




*拍手内並びにブログ内にて頂戴しましたコメントは、
全て雑記&レス板(←クリックにて別窓)にて、レスを行わせていただきます。

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
ランキング参加しています。1日1クリック有効vv↑
小説をお気に召していただけたら、ポチッと一押しお願いしますm(__)m
  2008/01/11 片恋 コメント(0) TB(0) 記事No(19) ▲TOP
片恋 act.5
大手のディーラーに就職してから3年目の冬。
2年間のフロント業務を経て、夏から営業畑へと身を置いていた。

「お疲れ!今日2件目とったって?やっぱり俺の目に狂いはなかったな」

客の下に出向き、新車の正式契約を済ませ社に戻った俺に、満面の笑みでもって近づいてきたのは、営業マネージャーである西宮(にしみや)さんだった。

「お疲れ様です。運がよかっただけですよ」
「またまたぁ、謙遜すんなって。おまえはフロントの時から客受け良かったし、絶対営業向きだと思ってたんだ」

ニコニコと、上機嫌に言い放つ西宮さんは、俺より4年先輩で、若干29歳にしてマネージャー2年目という強者だ。
今はほぼ第一線を退いている立場ではあるが、管理職はただ責任ばかりが増えていくだけで面白くないと、飲みに連れて行ってもらう都度愚痴っている。

俺が入社した頃は、まだ営業の一般だった西宮さんには、何故かフロント業務と職種が違っていたにも関わらず可愛がってもらっていて。この3年間で、一緒に飲みに連れて行ってもらった回数はすでに数え切れない。
その西宮さんが、夏の人事異動の際、どうしても俺を営業に欲しいと推してくれたらしく。異動3日前にして知らされたその発表に、正直呆然としてしまった。
特にフロントにこだわっていたわけではなかったが、自分が西宮さんが言うような営業向きの人間だとはとても思えなかったんだ。

それでも、いざやり始めてみると、自分でも驚くほどに成績は右肩あがり。よもや、自分にこんな隠れた才能があったなどとは夢にも思わず。
こうして目に見える結果として目の前に突き付けられれば、当然仕事にもやりがいなんてのも感じてしまう。
今では、営業に推してくれた西宮さんに感謝しながら、営業という仕事をすっかり楽しんでいた。

「そういや今日の新年会、当然出席だよな?」
「え?ああ、はい」
「よ〜しよし。2次会3次会と、中抜けは許さねえからな」

まるで幼い子供にするように、俺の頭をぐりぐりと撫でつけ、今度はたった今外回りから帰ってきた営業マンの元へと向かってしまった。
その後姿を見送りながら、自分のデスクへと向かった俺は、たった今契約を取り交わしてきた書類を鞄の中から取り出し、そのまま店長の下へと報告に向かう。そして、一通りの報告を終えた後、ようやく自分のデスクへと腰を降ろし、タイミングを見計らったかのように振動を告げる携帯電話をスーツの内ポケットから取り出した。

『今夜行く』

開いたディスプレイに表示された、たったそれだけの短い文章。いや、こんなたった2つの単語の羅列、お粗末過ぎて文章だなんてとても言えないよな。

『ごめん、今日は新年会』

それだけを打ち込み返信したメールには、当然だけどそれ以上の反応など返ってはこなくて。知らず漏れ出すため息。
いつもそうだ。俺の予定などはお構いなしに、時間ができそうな時にだけこうして連絡を寄越し、やる事をやってすっきりしたらさっさと帰っていく。
特にここ数ヶ月は、実際に顔を合わせてもただセックスをするだけで、俺達の間に普通の友人同士のような何気ない会話などなくなってきていたし、こうしたメールひとつにしても、ただ用件を伝えるだけの短い単語の羅列だけに留まっている。

まあ、女同士のメールのやりとりでもあるまいし、学生時代から俺と新の間でマメに連絡を取り合う習慣なんてなかったんだけど。
それでも、突然降って湧いたように自分の気持ちを自覚してしまった俺にとって、ただやるためだけのこうした内容のメールは、やはり胸を掻き毟られるような切なさに襲われる……なんて、いつから俺はこんなにも女々しくなってしまったんだろう。

こんな、不毛としか言い様のない関係を、わかっていながらも必死に縋り付いているのは、別に強制されているわけでもなく、ただ自分の意思だというのに。
どこにも持って行きようのない、そんな自分の気持ちを持て余すばかりの苛立ちを、新に向けたところで仕方がないことなどわかっているのに。
それが辛いと言うのなら、自らこんな関係には終止符を打つべきなんだ。

「愛川、どうしたボーっとして」

何を見つめるでもなく、ただぼんやりとそんな事を考えていた俺の背後から、不意に声がかけられ。

「あ…すみません」
「いや、体調でも悪いのかと思って」

振り返ったそこに立っていたのは、さっき声をかけてくれた西宮さんで。
慌てて取り繕うようにデスクの上の書類の束を手にした俺に、心配そうな視線が投げかけられる。

「体調はすこぶるいいですよ。新規の契約も取れたし」
「それならいいが、あまり無理はするなよ。最近顔色悪いことが多いぞ」
「そうですか?おかしいなあ、健康だけが取り柄なんっすけどね」
「確かに、おまえからそれを取ったら、何も残らねえな」
「ひっで〜」

冗談交じりの会話に返しながら、「これだけちゃっちゃと終わらせちゃいますね」と手にした書類を掲げた俺に、「あまり無理はするなよ」と声を掛けてくれた西宮さんに笑顔で返す。
そうだよ、今は余計な事を考えている時じゃない。

「仕事、仕事」

まるで自分に言い聞かせるように呟いた俺は、新からのメールによって沈み込んでいた気持ちを立て直すように、デスクの上に広げた書類へと視線を落とした。

<<to be continued…→next click>> 目次はTOPページ(←クリックでページジャンプ)にございますm(__)m




*拍手内並びにブログ内にて頂戴しましたコメントは、
全て雑記&レス板(←クリックにて別窓)にて、レスを行わせていただきます。

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
ランキング参加しています。1日1クリック有効vv↑
小説をお気に召していただけたら、ポチッと一押しお願いしますm(__)m
  2008/01/17 片恋 コメント(0) TB(0) 記事No(20) ▲TOP
片恋 act.6
今日は新年会だからと、最初から仕事量を抑えていたおかげか、5時半の定時を迎える頃には、仕事を終えた社員達が揃って時計を睨み付けていて。そんな光景を横目にしながら、俺もデスクの上を片付けていく。

「よ〜し!ちゃっちゃとタイムカードを押せ〜店閉めるぞ〜」

時計の針が5時半を告げたと同時に、今日の幹事の1人でもある西宮さんが声を張り上げ。皆一様にタイムカードへと足を向ける。
こういった時の、営業だとかフロントだとかメカニックだとか、そんな垣根を全て取っ払った団結力には、思わず苦笑が漏れる。
勤務中は、それこそ仕事の回し方だとかで、それぞれにぶつかる事が多かったりするけど、仕事を離れてしまえばそこそこに仲のいいこの営業所は、そういう意味ではすごく居心地がよかった。

「西宮さん張り切ってんなあ」

落ち着いた頃にタイムカードを押そうと、まだデスクから立ち上がらないままの俺の背後から、そう声をかけてきたのは、フロント業務についていた頃から親しく付き合っていた、同期入社の小峯だった。
今は俺が営業に転向してしまい、小峯は相変わらずフロント業務と、職種こそ変わってしまったけど、変わらず気の合うこいつとは、仕事を離れて2人で飲みに行く事も多くて。

「何も、あの人が幹事をする事もねえのにな」

「順番に並べよ〜」なんて、まるで幼稚園児を整列させるかのように声をかけている西宮さんの姿を視界に納めながら、呆れた口調でそれでも楽しそうに言い募る小峯も、俺同様に西宮さんを慕っている社員の1人だ。
確かに、小峯の言うように、こういった飲み会の幹事は普通、新入社員に任せるものなのだが。どうも祭りごととなると血が騒ぐらしい西宮さんは、幹事となった新入社員と共に動き回っている。
一応上司である彼が、そういった企画進行に進んで参加をすれば、それに携わる社員から不満の声があがってもよさそうなものだが。そこは西宮さんの人徳のなせる業なのか、何の違和感もなく溶け込んでしまっているのだから、やっぱり凄い人だよなあと、感心せざるを得ない。

「そこ〜、なぁにくっちゃべってんだ〜?ちゃっちゃとしねえと置いてくぞ〜」
「わ〜っ!行きます行きます!置いていかないでくださいよ〜」

未だ動こうとしない俺達に、目ざとく声をかけてきた西宮さんが、冗談混じりにそんな事を言えば、小峯も冗談混じりにそれを返す。
それにクスクスと笑みを零しながら、小峯と揃ってタイムカードを押しに向かえば、すでに宴会モードに突入している西宮さんからバシンと背中に手痛い1発。

「飲むぞ飲むぞ〜。明日の仕事なんて知った事か!」
「いやいやいや、それはまずいでしょう」
「あ〜ん!?小峯、てめえ!俺の酌じゃあ飲めねえってか!」
「そんなん言ってないじゃないっすか。あ、でも酌してくれるんっすか?そりゃあ旨い酒になりそうだな〜」
「バァ〜カ!てめえがもてなせ!」
「どうせホスト役するなら、可愛い女の子の相手がいいです〜」

タイムカードを押す手前で、ああでもないこうでもないと言い合う2人の姿は、これまた就いている業務は違うものの、いつもの見慣れた風景で。
それぞれにノリがいいこの2人は、俺とはまた違う意味で気が合うみたいだ。

「お先に〜…」

そんな2人の間を縫って、先にタイムカードを押した俺の首根っこが不意に掴まれ。

「自分は関係ありませんみたいな顔してんなよ、愛川〜。今日のホスト役はおまえで決定だ」
「ええ〜!?俺は1人チビチビ飲む酒が好きなんっすよ〜」
「よっく言うぜ!いっつも真っ先に酔っ払って絡むくせによ〜」

西宮さんの指名に愚痴を零せば、すかさず小峯が突っ込んでくる。
仕事を終えた後のこんな掛け合いが、今の俺にとっては一番楽しく心安らぐ時間だった。
こうしている時間は、ほんの僅かな時間とはいえ新の事を考えずにすむから。
ここは、完全に俺が作り出し、そして与えられている空間で。その中の誰1人として、俺の存在を無視するものなどいない。
俺は確かにここにいて、確かな存在を持って人と関わりあえているのだと、それを実感する事ができるから。

それは、新と過ごす時間の中では、どんなに望んでも得られない空間だった──…。

「愛川?」
「光流、どうした?」

不意に黙り込んでしまった俺を、訝しむようにして覗き込んできた4つの瞳。
ハッと我に返った俺は、曖昧な笑みを浮かべながら自分のデスクへと向かい、椅子に立てかけてあった鞄を手に取る。
考えずにすむと言いながら、結局はこうして新の事を考えている。そんな自分に、最早自嘲の笑みすら浮かんでこない。

「ひ〜っかる!マジでどうした?」
「え…?」
「顔色よくねえぞ。今日は止めとくか?」

心配そうに掛けられる声には無言で首を振り。気を取り直すように大きくひとつ伸びをした。

「大丈夫。飲むぞ!今日はとことん飲んでやる!」
「お〜い…どうでもいいけど、またおまえをおぶって帰るのは嫌だぞ〜。最近特に酒癖悪いんだもんよ」
「その時は頼むな、小峯!」
「ゲ〜ッ!開き直りやがった!」

そうだよ…考えない。あいつがいない時間まで、あいつに思考を埋め尽くされてたまるか。
あいつが全てになってしまったら、それこそ俺は立っていられなくなるじゃないか。あいつにとってはそうじゃないのに、俺ばかりが求めているなんて……いくらなんでも空しすぎるじゃないか。

「いいね、いいね〜。実にいい心がけだよ愛川くん」

それまで、小峯と同じように心配そうな眼差しを向けてくれていた西宮さんが、上機嫌にそう言うと俺の肩に腕を回してきて。
そんななんでもない触れ合いの中に、泣きたいくらいの温もりを感じていた俺の心は、本当はもう後戻りがきかないところまで追い詰められていたんだと思う。

『今夜行く』

という、たった2つの単語の羅列に…それを断ってしまった自分に。悪い事をしたわけでもないのに、たったそれだけの事が気になって、いつまでも頭を離れない俺は、今更改めて考えるまでもないほどに、思考の全てを新に支配されてしまっているんだ。

<<to be continued…→next click>> 目次はTOPページ(←クリックでページジャンプ)にございますm(__)m





*拍手内並びにブログ内にて頂戴しましたコメントは、
全て雑記&レス板(←クリックにて別窓)にて、レスを行わせていただきます。

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
ランキング参加しています。1日1クリック有効vv↑
小説をお気に召していただけたら、ポチッと一押しお願いしますm(__)m
  2008/01/19 片恋 コメント(0) TB(0) 記事No(21) ▲TOP
片恋 act.7
予約を入れていた店は、営業所からほど近い駅前の繁華街で。総勢30名もの集団が、すでに宴会モードへと切り替わった雰囲気の中、店へと向かう足取りも揃って軽いものだった。
一般的な仕事始めから2週間ほどがたとうとしている今の時期、まだまだ新年会ムードは覚めやらず、駅前の繁華街は飲みに繰り出そうというサラリーマンの姿で溢れている。

「みんな仕事しろよな〜」

自分達の事は棚に上げ、そんなスーツ姿の彼らを見て笑いながらそう言い募る小峯に笑って返し、何気なく道行く人々へと視線を向けた俺は、次の瞬間凍りついたようにその場から動けなくなっていた。

「光流?」

そう声をかけてくれた小峯にも答えられず、呆然とただ一点を見つめる俺の視線の先──…。

「どうした?知り合い?」

キョトンとした様子で、俺の隣に並び辺りを見回す小峯に、ようやくなんでもないとそれだけを答え、先に進んでしまった同僚の波に戻ろうとした俺の目の前に、まるで立ちはだかるようにして立った人影。

「邪魔」

その薄い唇から発された、低い声にビクリと身体が震えた。

「あ──…」

黒いニット帽を目深に被り、同じく真っ黒なサングラスをかけているのは、聞かなくともそれが変装だということなどわかっていた。だからこそ、呼びかけた名前を飲み込むしかなかったんだけど。
俺が、一言だって言葉を紡ぎ出せなかった理由はそれだけじゃなくて。

「だぁれ?知り合い〜?」

同じく、大きめのマフラーで口元までもを覆い隠し、伊達だろうと思われる眼鏡を掛ける彼女もまた、おそらくは業界の人間なのだろう。
目の前の彼の腕に、親しげに腕を絡ませ、甘えを含んだ声でそう問いかける。

「知らない。知ってるわけねえじゃん」
「だよね〜」

まるで、突き放すかのような冷たい声色。

「どけよ、邪魔」

何も言えずに立ち尽くす俺の肩を、再び口にした台詞と共に押しのける。
トン……と、1歩後ずさった俺の肩を支えてくれた小峯が、去っていくその後姿に何か文句を言おうとするのを制し……その時の俺の頭の中は真っ黒に色塗られていた。

そりゃそうだよな…こんな一般人、知り合いだなんてあいつが言うわけない。
ましてや、一緒に連れ立って歩いていた相手が、同じ業界の人間であるのなら余計に、人目は避けたいだろうし。
それでも、あの唇から発せられた「知らない」というたった一言が、俺の胸を深い場所まで抉り出す。

「なんだよあれ……ってかさ、アレって一ノ瀬 新と上条 茜じゃねえの?」

面白くなさそうに、でもどこか興味深々にも聞こえる声で呟いた小峯に、一瞬ビクリと肩が震える。

「おまえ、本当に知り合いじゃねえの?」
「ま…さか…。そんな有名人の知り合いなんていないし…だいたい、そうそう有名人に会うかよ」
「そっか、そうだよな〜…ってか、マジ感じ悪いな。気にすんな光流!ああいう輩なんて、ゴロゴロしてんだから」

それほど疑問を感じる事なく、あっさりと納得してくれた小峯にホッと胸を撫で下ろしながらも、今目の前に突きつけられた現実へのショックから、どうしても立ち上がれずにいた。
新が他の女と一緒にいたって、それは何の不思議もない。俺とあいつは付き合っているわけでもなんでもなくて……。だいたい、あいつが女を切らした事がないという事だって、わかりきっていた事だ。
今をときめく人気若手俳優は、その人気からか、週刊誌を賑わす事だってこれまでにも何度もあった。知りたくなくたって、そんな情報はいくらでも耳に飛び込んできてた。
だから、今の事だって別にショックを受けるようなことではないはずだ。

わかっているのに。そんな事はわかっていた事なのに、こうして目の前に突きつけられると、どうしたって苦しいと…痛いと心が悲鳴を上げる。
俺じゃない誰かと、ああして腕を絡ませて歩くあいつの姿を見ると、ただでさえズタズタに切り裂かれている心が、その傷口から大量の血を吹き上げ、その血だまりに溺れてしまいそうになる。

だって、初めてだったんだ──…。

これまでに週刊誌やらワイドショーやらで、知りたくもない新のスキャンダルを耳にし目にしてきたけど、それだって、わかってはいても納得なんてできない自分の気持ちには気付いていたから、極力避けて通ってきた。
それなのに、こうして現実目の前に突きつけられてしまうなんて。
こうして、新が他の女と一緒にいるところを見るのは初めてだったから、どうしていいのかがわからないんだ。

どうして新が、今この場所にいたのか。どうして俺の目の前に立っていたのか。
考えたってその答えなどわかるはずもなくて。
心の中で投げかけるそんな疑問に答えてくれる声だって、当然あるはずもなくて。
ここが俺の会社の近くだって事は、新ただってわかっているはずだ。そして、今夜は飲みに行くと言った俺が、この場所にいる事だって簡単に予想できたはずだ。
それなのに、まるで見せ付けるようにこの場所に女といた新──…。

そこまでを考えて、俺は背筋に悪寒にも似た震えが走るのを感じていた。

<<to be continued…→next click>> 目次はTOPページ(←クリックでページジャンプ)にございますm(__)m




*拍手内並びにブログ内にて頂戴しましたコメントは、
全て雑記&レス板(←クリックにて別窓)にて、レスを行わせていただきます。

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
ランキング参加しています。1日1クリック有効vv↑
小説をお気に召していただけたら、ポチッと一押しお願いしますm(__)m
  2008/01/23 片恋 コメント(0) TB(0) 記事No(22) ▲TOP
片恋 act.8
「お〜い、光流〜!ひっかるちゃ〜ん!しっかりしろって〜」
「ん〜…」

あれから、自分がどんな顔をして宴会の席に座っていたのか。そしてどれほどの酒を口にしたのか、正直はっきりと覚えてはいなかった。
ただ、どうしたって楽しめない気持ちを誤魔化しながら、必死に笑顔を貼り付けていた事だけは覚えてる。進められるがままにアルコールを煽り、俺もまた調子よく皆のグラスに波々と酒をついで回り……そうして人に注いだ酒ですら奪って飲んでいたような……。

「ったく〜…飲みすぎだっての」
「へっへ〜♪いい気分だね〜小峯ちゃ〜ん♪」
「うるせえよ、この酔っ払い!結局俺が送るはめになるんじゃねえかよ!」

小峯に抱えるようにして支えられながら、ふわふわとした足取りを楽しむ俺の頭を、バシンと叩いてくれたその表情が、呆れた色に染められている事など、確かめて見なくともわかっていた。
それでもヘラヘラと笑い続ける俺の頭のネジは、完全に根こそぎ吹っ飛んでいるのではなかろうか。

「ほら!しっかり昇れっての!重いんだよ、力抜くなバカ!」
「や〜ん、怒っちゃや〜よ!おんぶして〜小峯ちゃ〜ん」

何も楽しい事などないはずなのに、酒の力を借りてふわふわとおぼつかない足取りの俺は、アパートの階段を昇る足取りすらも危うくて。

「バカ言ってんな!自分とたいして体格の変わんねえ男を、背負えるかってんだ!」

完全なる酔っ払いと化していた俺は、ブツブツと文句を言う小峯の頭を、何が楽しいのかバシバシと叩き続け。
小峯にしてみれば、ようやく辿り着いたアパートの2階。「鍵を出せ」とかなんとか喚く小峯に、相変わらずヘラヘラと笑うだけだった俺は、自分の部屋の前に立つ人影の存在に、一瞬で酔っ払っていたはずの意識が戻ってくるのを感じていた。

「光流?ボーッとしてないで、鍵出せって言ってんだよ!」
「なん…で…?」
「は?光流?……って…あれ?」

今の今までふわふわと浮いていた意識が、一瞬で冷水を浴びせられたかのように凍りつき。同時に足すら止めていた俺を覗き込んできた小峯が、視線を追うようにして見つめた先。
そこに立つ人影の存在に、同じように気付いた小峯が、呆然とした声で呟く。

「あれって…今度こそ一ノ瀬 新なんじゃねえの?」

そんな問いかけにビクリと肩を揺らした俺は、その瞬間、今度こそ完全に酔いが覚めていた。

「寒い、さっさと開けろよ」

流すような冷たい視線。そして発された低い声。
それにまた震える俺は、何で?とも、どうしたんだ?とも言えないまま。

「聞こえねえのかよ」

憮然とした表情のまま言い放つその声と、隣に立ったままの小峯から聞こえてきた「マジかよ…」という呟きと。
そのどちらもが耳に届き、それでも動けないでいた俺は、もしかしたら夢でも見てるんじゃないかなんて…そんな事を考えていた。

「こいつ誰?」

呆然としたまま、1歩も動こうとしない俺の目の前に、痺れを切らしたかのように歩み寄ってきた新が、見下ろす視線で小峯へと視線を流し、すぐに俺の方を真っ直ぐに見据えてくる。

「あ…お、俺!光流の同期で小峯って…」
「聞いてねえし」

有名人を目の前にして緊張しているのか、どこか上ずった声で答える小峯に、バッサリと切り捨てるかのような言葉。
それにムッとした小峯の気持ちが伝わってきて、ようやく俺は我に返り新の腕を掴んでいた。

「ごめん…今開けるから」
「光流?」

微かに震える俺の声に気付いたのか、小峯がムッとしたままの視線を投げかけてくる。

「小峯もごめん…送ってくれてありがとう。あのさ…この事は……」
「別に誰に言いふらしたりもしねえよ。それより大丈夫なのかよ?」

俺達の間に流れる、普通ではない雰囲気に気付いてしまったのか、心配するようにかけてくれたその言葉に無言のままで頷く。

「何の心配だよ。もういいから帰れば?」
「な…っ!?」
「新!小峯もごめん、本当にありがとう」

何故かわからないが、新の不機嫌がビリビリと伝わってきて。
今こいつが、小峯に対してとんでもなく理不尽な事を言っているのはわかってる。小峯は酔っ払った俺を送り届けてくれたというのに、それに対する礼を口にするどころか、どこか挑発するような新の口調には、さすがに俺だって憤りを感じたけど。
ここで俺が小峯をかばうような事を言えば、きっと新の意味のわからない怒りに拍車をかけてしまうと、それだけはわかってた。

「本当に大丈夫なんだな?」

元来、負けん気の強い小峯が、見下ろす新の視線に怯んだ様子もなく、もう1度確認するように俺に問いかけてきて。それにコクンと頷けば、渋々といった様子で、それでも何度も俺達を振り返りながら今昇ってきたばかりの階段を下りて行った。
その背中に、ごめん…と心の中で何度も謝罪を繰り返し、再び新へと視線を向ければ、何事もなかったかのように掴んでいた俺の手を振り払い、さっさと部屋の前まで戻ってしまう。

「何してんだよ。さっさと開けろって」

そうして発された言葉は、どこまでも自分勝手なそんな台詞。
ここで何の用だと問いかけても、それに対する答えなど返されない事はわかっていたから。ただ俺はその言葉に従い、玄関に差し込んだ鍵を回すことしかできなかった。

<<to be continued…→next click>> 目次はTOPページ(←クリックでページジャンプ)にございますm(__)m





*拍手内並びにブログ内にて頂戴しましたコメントは、
全て雑記&レス板(←クリックにて別窓)にて、レスを行わせていただきます。

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
ランキング参加しています。1日1クリック有効vv↑
小説をお気に召していただけたら、ポチッと一押しお願いしますm(__)m
  2008/01/26 片恋 コメント(0) TB(0) 記事No(23) ▲TOP
片恋 act.9
開け放った玄関の中へと、俺の横をすり抜けるようにして足を踏み入れた新が、やはり何も言わないままにズカズカと中に入り込み、リビングの床の上にドカッと腰を降ろした。
その背中を視線で追いながら、同じようにして靴を脱ぎ部屋に上がった俺は、声を掛ける事がないままに、リビングと隣り合わせの寝室へと向かう。
窮屈なスーツを脱ぎ捨てながら、ここ最近ではすっかりクセづいてしまっているため息をひとつ。

「何で──…」

あいつはここにいるんだろう?今夜はもう来ないと思っていたのに。
だいたい、一緒にいた彼女はどうしたってんだ?

そんな答えの出ない疑問がグルグルと巡る中、リビングから聞こえてきたテレビの音に、ようやく詰めていた息をひっそりと吐き出した。
あいつが何を考えているのかがわからないなんて、それこそ今更だ。
学生の時は、何一つ口に出して言わなくとも、あいつが考えている事が手に取るようにわかったのに。あいつへと傾く気持ちを自覚した途端、それまで見えていたはずのものが何ひとつとして見えなくなってしまった。
それは全て、あいつの零す言葉のひとつひとつに、俺がびくついてしまっている事が大きな原因だという事はわかっていたが。

クローゼットの中から取り出したハンガーに、脱いだばかりのスーツを掛け、部屋着を取り出そうと屈めた腰は、しかし伸ばすはずの手の動きが不意に阻まれ落とす事が叶わず。
掴まれた手首から走る、鈍い痛み。それに顔を顰めながら視線を向けた先。
自分が想像するよりも間近に、整いすぎて…だからこそゾッとするような冷たい表情があった。

「あ…らた…?」

無言のままで見下ろしてくる視線の鋭さに、そこから感じ取れる威圧感に震え、その手を振り払う行動のひとつも取れずに固まる俺は、次の瞬間投げ飛ばされるようにしてベッドの上に転がっていた。

「い…っつ──…っ!あ…新…?」
「1人で歩けなくなるくらい飲んでんじゃねえよ」

背筋が震えるほどに冷たい声。
同時に覆いかぶさってきたこいつが、乱暴な仕草でまだ着たままだった俺のカッターシャツへと手を伸ばしてきて。そのまま荒々しい手つきで掴まれ、左右に引き裂かれる。
ビリッと布が裂ける音とともに、弾けとんだボタンが四方へと散らばり。

「…っな!?あら…った…っ…!!」

これまでに感じた事がない恐怖に、逃げるようにシーツを掻く俺の足は、覆いかぶさったままの新の両膝に挟まれ、難なく封じ込められてしまった。

「酒臭ぇ……」

チッと、聞こえてきた舌打ち。ただそれだけで、言い知れない恐怖に支配される俺は、僅かな身じろぎですらもできなくなってしまう。

「あいつ家に上げて?そんで何する気だった?」
「……何…言って…」
「俺に抱かれるうちに、もう男じゃなきゃ満足できなくなっちまったってか?」
「バカな…っ!あいつは、小峯はただ送ってくれただけで!」
「ふぅ〜ん、小峯ってんだ?支えてもらわなきゃなんねえほど、酔い潰れてるようには見えねえけど?」
「そ…っれは…っ!」

おまえの姿を見たその瞬間に、それまでぐるんぐるんと回っていたはずの世界が戻ったのだなどと、そんな事を言えるはずもなく。
俺の顎を掴み、動きを封じたままで見下ろしてくる視線は、心が凍り付いてしまいそうなほどに冷たかった。
そこからは何の感情も読み取れなくて、その事がただ切ない。

「酔ったふりして男連れ込もうってか?とんだ淫乱だな」
「バカにするなっ!誰が男なんか…っ!!」

おまえじゃなきゃ、誰が好き好んで男になど抱かれるものか!
そう叫びだしそうになる声を、必死の思いで抑え込む。
それを言ったところで、何の説得力などあろうはずもない。実際、こいつに抱かれ始めた頃の俺に、恋愛感情などというものはなかったのだから。
それを考えれば、俺は好きじゃなくても男に抱かれる事ができる、新の言うとおり淫乱な奴なのかもしれない。

それ以前に、そんな告白じみた真似……間違ったってできるはずがないんだ。
それを口に出して言ってしまったが最後、きっとこいつは俺の前からいなくなってしまう。
こんなにもひどい言葉を投げつけられてもなお、こんなにも蔑むように冷たい視線を向けられてもなお、こいつに縋り付こうとする己の浅ましい心に吐き気がする。

「へぇ〜、男なんか…ねえ?じゃあ何か?俺は女か?おまえを抱く俺は、男じゃないってか?」

楽しんでいるかのようにも聞こえる声。それでも見つめたその瞳には笑みの欠片すら浮かんではいなかった。
ただただ、氷のように冷たい──…何の感情も映し出さない瞳。
こいつは、一体いつから俺の事をこんな目で見るようになったのだろう?
少なくとも、俺が自分の想いを自覚し始めた、この夏まではこうじゃなかった。
俺が、新を好きだという自分の想いに気付くまでは、身体の関係を続けながらも、俺達の間にあった親友という関係は変わらずこの手の中にあったはずだ。

不意に仕掛けられた、息つく間もないほどに激しい愛撫を受けながら、ぼんやりとそんな事を考えていた俺は、途端にこの身を襲う恐怖に、ガチガチと震えだしていた。
それは、今日あの場所で、女と一緒に歩いていた新を見たときに感じた恐怖と同じもので。
まるで俺に見せ付けるように、タイミングを見計らったかのように現れたこいつが、一体何を考えていたのか。
それを思うだけで、震えだした身体を恐怖の感情だけが包み込む。後から後から噴出す冷たい汗が、喉元に競りあがってくる大きな塊が渦を巻き、吐き気すら覚える。

「あ…あ…」
「光流?」

ガチガチと震えだした俺に、それまで噛み付くような愛撫を仕掛けていた新の動きが止まり。覗き込んでくる瞳は、それでもそこに映る冷たい影は変わらずそこにあった。

「何演技してんの?」

そして投げつけられた、鋭い切っ先を持つ言葉。

「怖がるふりして…こっちはちゃんと反応してんじゃねえかよ」
「…っひ!あ、あ…」

ニヤリと…今日会って、初めて見せたその笑みは、俺の中に巣食った恐怖を煽るには十分の材料だった。

<<to be continued…→next click>> 目次はTOPページ(←クリックでページジャンプ)にございますm(__)m




*拍手内並びにブログ内にて頂戴しましたコメントは、
全て雑記&レス板(←クリックにて別窓)にて、レスを行わせていただきます。

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
ランキング参加しています。1日1クリック有効vv↑
小説をお気に召していただけたら、ポチッと一押しお願いしますm(__)m
  2008/01/27 片恋 コメント(0) TB(0) 記事No(24) ▲TOP
片恋 act.10
(R-18)

ろくに慣らされもせずに抉られる内壁は、ピリピリと裂けてしまったのであろう痛みを感じさせるのに。打ちつけられる欲望を飲み込む事に慣らされたその場所は、それでも貪欲にその熱を咥え込む。

「い…あ、あ…っ!」

与えられる快感を覚えた浅ましい身体は、悲鳴を上げる心とは裏腹に、更に奥深くへと誘い込もうと蠢く。

「俺が来ないと思ってたんだろ?だからその隙に、男を連れ込もうとしたってわけだ」
「ち…ちが…っ!あ、あ…新……っふ…ぁあっ!」

俺の身体を抱き慣れ、どこをどうすれば俺が痴態を晒すかを知る新の手によって、どんなに嫌だと叫んでみても翻弄される意識は誤魔化しようがない。
その手の動きに、噛み付くような愛撫に……こいつに与えられる全てに悶え狂う俺を、一体どういう気持ちで見つめているのだろう。

「やぁ──…っんぅ…っ!」
「嫌じゃないだろ?素直にイキたいって言えば?」

そこに含まれた蔑みの色に気付いているのに、俺を見下ろす瞳の中に、侮蔑の存在すら感じるのに、自分でもどうしようもない疼きが、思考も何もかもをめちゃくちゃに支配するんだ。

「痛いのも感じるようになっちまったんだ?すっげ…もうイッてんじゃねえのってくらい、おまえのここぐちゃぐちゃになってんよ?」

ぶつけられるそんな言葉でさえも、耳元で吹きかけられるように囁かれれば、届くその低い声だけで俺にとっては十分過ぎるほどの愛撫だった。

「あ、あ…新…っ…んん、ぁあっ!」

四つん這いの格好で、突き出す形でこいつの前に痴態を晒し。ガツガツと壊れそうなくらい激しく打ち付けられ、痛いはずなのに、苦しいはずなのに。
それでもこいつが与えてくれる、ただそれだけで、痛みすら快感に変わってしまうほど。それほどまでに、乾いた心はこいつを求めてるのに。
縋りついてしまいたいその腕は、ただ俺を押さえ込むだけで、決して抱きしめてなどくれなくて。

「い…っや…あああっ!」

それまで俺の背を押さえ込んでいた手が不意に離れ、それを理解した時には、熱を穿たれたままのその身体をそのまま反転させられていた。
絡み合う視線の中、堪えきれず伸ばした手は、そのまま両手首を大きな手によって拘束され、1度も触れることが叶わないままに、頭上へと抑え込まれてしまう。

「あ…らた…っ…。お願…ぅんっ…ひぁ…っぁああっ!」

望みは声に出す事も許されず、言葉ひとつ発してくれない新の、ただ欲望を吐き出す為だけの打ちつけが再開された。
抉られる──…全てを抉り出されるような快感の波。それに翻弄される俺は、頭上で束ねられた自分の手を、自由に解き放つ術すらわからない。

触れたいのに。おまえに触れて、その背に縋りつきたいのに。
その首筋に腕を絡め引き寄せ、どさくさでもなんでもいいから、吐き出される熱い吐息を飲み込むくらいのキスが欲しいのに。

「物欲しそうな顔してんなよ」

受け入れる秘部が卑猥な動きを見せ、絶え間なく零れ落ちる喘ぎに、口端から飲み込みきれない唾液を垂らす俺に、まるで蔑むようにして向けられた言葉。
解放を許されない欲望の渦に翻弄され、最早まともな思考を保てなくなっていた俺の耳に、その言葉は明確な意味を持っては響かず。

抱き締められたい。
抱き締めたい。
キスをしたい──…。

そんな風にして、後から後から押し寄せてくる欲求と、回避しようにもしきれない快感の大波。
何度も何度もイカセて欲しいと懇願する俺の、そんな願いは結局叶えられる事はなく。
目尻から溢れ出す涙すら、今はひどく冷たく感じた。

「あ…らた……手…痛…っああ」

幾筋もの涙を溢れさせ、押さえつけられたままの手首が痛いと訴えかければ、俺を見下ろしてくる瞳の中に、一瞬──…ほんの一瞬だけ、辛そうな色が見えたような気がして。
そうして、不意に解かれた戒め。今の今まで抑え込むようにして俺の手を拘束していた、そのゴツゴツとした、でも綺麗な指先が、ほんの一瞬だけそっと頬に触れてきた。
一瞬止まった打ち付けに、その真意が測りきれず、不安を訴える心のままにその表情を窺い見れば、ほんの一瞬見えた気がした温もりはすぐに立ち消え。
それは、俺の願望が見せた幻想だったのかと、そう思わずにはいられないほどに冷たい光がその瞳には戻っていた。

「ひぁ…っ!い…あああっ!」

再び抉るようにして抽入が繰り返され、頬に触れてきた手に感じた優しさの意味も、一瞬その瞳をよぎった切なさの意味も、ちゃんと考えたいのに何も考えられなくなってしまう。

新?俺に何を言おうとした?
今、おまえは何を考えてた?

そう問いかけたいはずの言葉は、押し寄せる快感の波に飲み込まれ、唇から漏れ出す嬌声は、最早何の意味もなさない。
それでも求める温もりを探し彷徨う手は、無意識のうちに真っ直ぐにあいつへと伸び。絡ませた首筋に、必死の思いでしがみつく。

「新…新…っ!ね…ねえ…っ、キス…して──…っ!」

闇に飲み込まれてしまいそうな意識の中で、飛びかけた意識の中で、気付いたときには口にしてしまっていた望み。
決して、口に出してはいけない願い。それはわかっていたはずなのに──…。

「な…に…?おまえ、本気で男が好きな奴になっちゃったの?」

驚愕に染められた新の瞳が俺を映し出し、止まった動きの中で、痛いほどに流れ込んでくる冷たい蔑みの言葉。

違う!俺は男が好きなんじゃない!おまえが好きなんだ!

そんな言葉全てを、凍りつかせてしまうほどに冷たい視線が突き刺さり。

「気持ち悪いんじゃなかったんかよ」

そうして投げつけられた言葉が、俺の思考の全てを凍結させた。
『気持ち悪い』と、そう言った新の言葉が全てだった───…。

<<to be continued…→next click>> 目次はTOPページ(←クリックでページジャンプ)にございますm(__)m




*拍手内並びにブログ内にて頂戴しましたコメントは、
全て雑記&レス板(←クリックにて別窓)にて、レスを行わせていただきます。

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
ランキング参加しています。1日1クリック有効vv↑
小説をお気に召していただけたら、ポチッと一押しお願いしますm(__)m
  2008/01/30 片恋 コメント(0) TB(0) 記事No(25) ▲TOP